《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「っ…ハリ」
「へえ。空間隔離の魔像術をかけておいたのによく入ってこれたね。物凄い風圧だったけど一体何をしたの?」
ハリは輪飾りを人差し指にかけ見せつける様にくるくると回し、小首を傾げた。手にしているのはおそらくスズランが身につけていた首輪飾りだろう。
「ハリ…。どいてくれ」
「……」
無言でラインアーサの前に立つハリの表情からは何も読み取れない。そこから全く退く気のないハリを押し避けて医務室の奥へ足を進めると、寝台の上に力なく横たわっているスズランを見つけ駆け寄る。
「ッ…スズラン!! 大丈夫か?」
意識を失っているのか瞳は伏せられているが目尻から頬に伝う涙の跡が見て取れる。やはりその首から首輪飾りは無くなっており、代わりに華奢な首には似合わない指の跡が赤く、痛々しく目立っている。
「……ハリ、スズランに何をした」
「何って、ラインアーサのお望み通り。この首輪を外してあげただけだよ。ああ…。でももう息、してないけどね」
「なっ!? 」
ハリの言葉に急いでスズランの胸に耳を当て心音を確かめる。どんなに強く耳を押し当てても心臓の鼓動が聞こえてこない。スズランの身体は既に温もりを失っていた。
「……嘘だ…」
認めたくない事実に動揺が隠しきれない。
「へえ。空間隔離の魔像術をかけておいたのによく入ってこれたね。物凄い風圧だったけど一体何をしたの?」
ハリは輪飾りを人差し指にかけ見せつける様にくるくると回し、小首を傾げた。手にしているのはおそらくスズランが身につけていた首輪飾りだろう。
「ハリ…。どいてくれ」
「……」
無言でラインアーサの前に立つハリの表情からは何も読み取れない。そこから全く退く気のないハリを押し避けて医務室の奥へ足を進めると、寝台の上に力なく横たわっているスズランを見つけ駆け寄る。
「ッ…スズラン!! 大丈夫か?」
意識を失っているのか瞳は伏せられているが目尻から頬に伝う涙の跡が見て取れる。やはりその首から首輪飾りは無くなっており、代わりに華奢な首には似合わない指の跡が赤く、痛々しく目立っている。
「……ハリ、スズランに何をした」
「何って、ラインアーサのお望み通り。この首輪を外してあげただけだよ。ああ…。でももう息、してないけどね」
「なっ!? 」
ハリの言葉に急いでスズランの胸に耳を当て心音を確かめる。どんなに強く耳を押し当てても心臓の鼓動が聞こえてこない。スズランの身体は既に温もりを失っていた。
「……嘘だ…」
認めたくない事実に動揺が隠しきれない。