《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
ハリの口から出た言葉の全てが真実なのだ。
しかしどんなに挑発されようがハリを手にかける事など出来ない。ラインアーサにとって大切な家族とも言えるハリを殺める事など、どうしても出来る筈がなかった。
「はあ、本当に残念だよ……ここまで煽ってやったのに…」
「それでも俺には出来ない…」
「僕とは面白いほど真逆で失笑だね」
「ハリ…。何で…! どうしてスズランを…っ」
「どうしてって? 分からないかな、邪魔なんだよ。鈴蘭は昔から僕の邪魔ばかりする…」
「邪魔…? 邪魔ってなんだよ。分からないよハリ…」
「……」
寝台の上に横たわるスズランに目線を移す。すっかり血の気を失った冷たい横顔はこんな時だと言うのに美しかった。跪いてスズランの冷たい手を握るも、絶望が一気にラインアーサを襲う。
「スズラン……俺が守るって誓ったのに…。俺の大切な…っ…」
言葉に詰まり俯くと顎を伝い滴となって落ちた涙がスズランの頬を濡らした。
「……はぁ…。あのさぁ、人の話は最後まで聞いたほうがいいんじゃあない?」
「…?」
「さっき、僕の話を途中で遮ったでしょ」
「……何が言いたいんだ」
「僕、殺したなんて一言も言ってないんだけど」
しかしどんなに挑発されようがハリを手にかける事など出来ない。ラインアーサにとって大切な家族とも言えるハリを殺める事など、どうしても出来る筈がなかった。
「はあ、本当に残念だよ……ここまで煽ってやったのに…」
「それでも俺には出来ない…」
「僕とは面白いほど真逆で失笑だね」
「ハリ…。何で…! どうしてスズランを…っ」
「どうしてって? 分からないかな、邪魔なんだよ。鈴蘭は昔から僕の邪魔ばかりする…」
「邪魔…? 邪魔ってなんだよ。分からないよハリ…」
「……」
寝台の上に横たわるスズランに目線を移す。すっかり血の気を失った冷たい横顔はこんな時だと言うのに美しかった。跪いてスズランの冷たい手を握るも、絶望が一気にラインアーサを襲う。
「スズラン……俺が守るって誓ったのに…。俺の大切な…っ…」
言葉に詰まり俯くと顎を伝い滴となって落ちた涙がスズランの頬を濡らした。
「……はぁ…。あのさぁ、人の話は最後まで聞いたほうがいいんじゃあない?」
「…?」
「さっき、僕の話を途中で遮ったでしょ」
「……何が言いたいんだ」
「僕、殺したなんて一言も言ってないんだけど」