《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
今度は熱を出したのか寝込んでいるスズランをセィシェルが懸命に看病している場面だった。
当時。どれだけ待ってもスズランが現れなかったのはこうやって熱を出して寝込んでいたからなのだろうか。そう自分を納得させる事にした。
セィシェルがうたた寝をした隙をみて部屋を抜け出すスズラン。裏庭から王宮の森へ入ろうとしているのはラインアーサと交わした約束を守ろうとしてなのか。
「スズラン……」
申し訳ない気持ちになりつつもスズランを見守った。だが、やはりすぐに見つかってしまいそのまま口喧嘩を始める二人。セィシェルが怒るのは無理もない。当のスズランは病み上がりでまだ真っ赤な顔をしている。
そこへ、雨が降ってきて焦ったセィシェルは強引にスズランの腕を掴んだ。
次の瞬間、空が光り雷鳴が轟いた。
稲妻が激しく曇天を引き裂く。
このまま屋外に居るのは危険だ。
閃光の後の轟音に驚き、泣き出すスズランに痺れを切らして怒鳴るセィシェル。もちろん逆効果だ。
「ああ、そんなに怒鳴らなくても…」
とてもじゃないが見ていられない……。同時に嫌な予感がする。と、その時。凄まじい稲妻が空を真っ二つに割った。
当時。どれだけ待ってもスズランが現れなかったのはこうやって熱を出して寝込んでいたからなのだろうか。そう自分を納得させる事にした。
セィシェルがうたた寝をした隙をみて部屋を抜け出すスズラン。裏庭から王宮の森へ入ろうとしているのはラインアーサと交わした約束を守ろうとしてなのか。
「スズラン……」
申し訳ない気持ちになりつつもスズランを見守った。だが、やはりすぐに見つかってしまいそのまま口喧嘩を始める二人。セィシェルが怒るのは無理もない。当のスズランは病み上がりでまだ真っ赤な顔をしている。
そこへ、雨が降ってきて焦ったセィシェルは強引にスズランの腕を掴んだ。
次の瞬間、空が光り雷鳴が轟いた。
稲妻が激しく曇天を引き裂く。
このまま屋外に居るのは危険だ。
閃光の後の轟音に驚き、泣き出すスズランに痺れを切らして怒鳴るセィシェル。もちろん逆効果だ。
「ああ、そんなに怒鳴らなくても…」
とてもじゃないが見ていられない……。同時に嫌な予感がする。と、その時。凄まじい稲妻が空を真っ二つに割った。