《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「っ!!」
辺りが青白い閃光で包まれた。
近くの樹に雷が落ち、側撃雷の放電を受けたのか地面に倒れ込む二人の姿に背筋が凍る。
セィシェルが身を呈して守ったのだろう。無傷のスズランが身体の下から這い出てきたが背中に大きく負傷を受けたセィシェルの姿を見てそのまま気を失った。
冷たい雨に打たれる二人を残し、消えてゆく場面。
「スズラン! セィシェル…! くそっ!!」
どれも過ぎ去った記憶たち。
いくら叫んだ所で過去に起きた出来事に声が届くはずがない。分かっていても何も出来ないのが歯がゆい。
「みんな……こうやってたくさんの出来事を乗り越えてきたんだ…。だったら、俺は今の俺にしか出来ない事をやる!」
ラインアーサは両手で自身の頬を叩くと決意を固め足を踏み出した。
暗闇の中、幾つも浮かび上がる様々な記憶の欠片を横目に、現在に追い付くべくひたすら前へと進んでゆく。
「スズラン、今行くから待ってて」
正直、どうすればスズランを助ける事が出来るのかは分からない。それでも今すぐ傍に行って今度こそこの手で守りたいのだ。
「今度こそ、必ず……」
辺りが青白い閃光で包まれた。
近くの樹に雷が落ち、側撃雷の放電を受けたのか地面に倒れ込む二人の姿に背筋が凍る。
セィシェルが身を呈して守ったのだろう。無傷のスズランが身体の下から這い出てきたが背中に大きく負傷を受けたセィシェルの姿を見てそのまま気を失った。
冷たい雨に打たれる二人を残し、消えてゆく場面。
「スズラン! セィシェル…! くそっ!!」
どれも過ぎ去った記憶たち。
いくら叫んだ所で過去に起きた出来事に声が届くはずがない。分かっていても何も出来ないのが歯がゆい。
「みんな……こうやってたくさんの出来事を乗り越えてきたんだ…。だったら、俺は今の俺にしか出来ない事をやる!」
ラインアーサは両手で自身の頬を叩くと決意を固め足を踏み出した。
暗闇の中、幾つも浮かび上がる様々な記憶の欠片を横目に、現在に追い付くべくひたすら前へと進んでゆく。
「スズラン、今行くから待ってて」
正直、どうすればスズランを助ける事が出来るのかは分からない。それでも今すぐ傍に行って今度こそこの手で守りたいのだ。
「今度こそ、必ず……」