《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「外れ、た…!」
首輪飾りは外れたのにも関わらず、ハリの両手は未だスズランの首に回っている。そしてそのまま何かを呟きながら頸部を強く圧迫し続けた。
「ハリ!? 何でだ…っ首輪飾りはもう…! やめてくれ…!!」
見るに耐えないハリの動向にラインアーサは拳を強く握り締めた。意識を手放したスズランは膝から崩れ落ちるも、ハリに抱き支えられそのまま寝台の上へ無造作に横たわされた。ハリはスズランを気にもせず床に落ちた首輪飾りを拾うとまた何かを呟いた。するとハリの手の中で首輪飾りは再度鈍く光り、天球儀の様な形に変形した。
「…っ!?」
天球儀の上に光る文字が浮かび上がる。
───鈴蘭・f・フルール 汝、玻璃・L・ファナクスの番である。此処に刻む───
しかし異国の文字が使われており、所々ラインアーサには読めなかった。
ハリは無表情のまま光る文字を潰す様にして天球儀を畳み、元の首輪飾りに戻した。
次第に場面が薄れて消えてゆく。
それ以降記憶の欠片が浮かび上がることは無かった。それもその筈だ。スズランはこの場面を最後にハリの魔像術によって仮死状態なのだ。このままだと本当に死んでしまう。
首輪飾りは外れたのにも関わらず、ハリの両手は未だスズランの首に回っている。そしてそのまま何かを呟きながら頸部を強く圧迫し続けた。
「ハリ!? 何でだ…っ首輪飾りはもう…! やめてくれ…!!」
見るに耐えないハリの動向にラインアーサは拳を強く握り締めた。意識を手放したスズランは膝から崩れ落ちるも、ハリに抱き支えられそのまま寝台の上へ無造作に横たわされた。ハリはスズランを気にもせず床に落ちた首輪飾りを拾うとまた何かを呟いた。するとハリの手の中で首輪飾りは再度鈍く光り、天球儀の様な形に変形した。
「…っ!?」
天球儀の上に光る文字が浮かび上がる。
───鈴蘭・f・フルール 汝、玻璃・L・ファナクスの番である。此処に刻む───
しかし異国の文字が使われており、所々ラインアーサには読めなかった。
ハリは無表情のまま光る文字を潰す様にして天球儀を畳み、元の首輪飾りに戻した。
次第に場面が薄れて消えてゆく。
それ以降記憶の欠片が浮かび上がることは無かった。それもその筈だ。スズランはこの場面を最後にハリの魔像術によって仮死状態なのだ。このままだと本当に死んでしまう。