《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「そうだよ! 一緒に君のパパを探すって約束した…」

「っ…ほんとうだ、ライアおにいちゃんだ! きてくれたの?」

「ああ。遅くなってごめんな」

 そう言って小さく笑顔を見せると、スズランもぱっと明るく微笑んだ。嬉しそうな笑顔に心がギュッと締め付けられる。

「ううん! またあえてうれしい!! ずっと待ってて良かった」

「ずっと、此処で待ってたのか? 俺の事…」

「うん! そうだよ…! あれ? でも、ライアおにいちゃん何だかおっきくなったね! 何でかな?」

「ええっと、それは…」

 どう説明して良いか分からず返答にこまっているとスズランは、「まぁいいや」と大して気にしていない様子だ。

「それよりスゥね、ライアおにいちゃんにあやまらないと。せっかく約束したのにどうしてもここに来れなかったの……ごめんなさい」

「俺の方こそたくさん待たせてごめんな」

 一人でどれだけの間待っていてくれたんだろう。

「おこってないの?」

「どうして? 怒ってないよ」

「だってスゥがちゃんと約束まもらなかったから…。だから、ライアおにいちゃんおこっててもう来ないんだとおもってたの…」

 不安げに眉を下げて悲しそうに、今にも泣き出しそうなスズラン。
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