《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「よかった…っ」
「っ…君、何を、、今の一瞬で…、どうやって鈴蘭を…」
ハリの声が医務室に響く。僅かに震えた声は掠れていて感情が読めない。こちらを見透す様に目を見開くハリ。ラインアーサの本能が警鐘を鳴らす。
「一瞬…?」
ラインアーサはスズランを寝台に寝かせると素早く守りの煌像術をかけた。そのまま自身を盾にし、警戒しながらハリへと向き合う。だがハリは何かに怯えているかの様に後退った。何か違和感を感じる。
「一体鈴蘭に何をした…! どんな魔像術、、いや煌像術を使った!? それに、その頭はどうした…っ!」
「? 俺の頭がどうか…!? わ、髪が…? 何だこれ!?」
「自分でやった癖に分からないのか?」
違和感の正体は腰程まで伸びきった髪だ。元々癖のある髪質の所為か所々波がうねる様に跳ねている。
そして何故こうなったのか心当たりがあるとすればその理由は一つしかない。左腕の刺青に封印していた〝力〟が、エテジアーナから受け継いだ能力が解き放たれたからだろう。
だがそんな事よりも懸念していた事があった。
「いや、髪なんて後で切ればいいだろ。それよりもハリ。一つだけ聞きたい事がある」
ラインアーサはハリの目前まで詰め寄り、ハリの瞳を覗き込んだ。
「っ…君、何を、、今の一瞬で…、どうやって鈴蘭を…」
ハリの声が医務室に響く。僅かに震えた声は掠れていて感情が読めない。こちらを見透す様に目を見開くハリ。ラインアーサの本能が警鐘を鳴らす。
「一瞬…?」
ラインアーサはスズランを寝台に寝かせると素早く守りの煌像術をかけた。そのまま自身を盾にし、警戒しながらハリへと向き合う。だがハリは何かに怯えているかの様に後退った。何か違和感を感じる。
「一体鈴蘭に何をした…! どんな魔像術、、いや煌像術を使った!? それに、その頭はどうした…っ!」
「? 俺の頭がどうか…!? わ、髪が…? 何だこれ!?」
「自分でやった癖に分からないのか?」
違和感の正体は腰程まで伸びきった髪だ。元々癖のある髪質の所為か所々波がうねる様に跳ねている。
そして何故こうなったのか心当たりがあるとすればその理由は一つしかない。左腕の刺青に封印していた〝力〟が、エテジアーナから受け継いだ能力が解き放たれたからだろう。
だがそんな事よりも懸念していた事があった。
「いや、髪なんて後で切ればいいだろ。それよりもハリ。一つだけ聞きたい事がある」
ラインアーサはハリの目前まで詰め寄り、ハリの瞳を覗き込んだ。