《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
何やら照れたジュリアンの背中を、朧げな意識の中見ていた。そのうちにバタバタと足音が聞こえてくる。壊れた扉、正確にはラインアーサが壊してしまった扉から顔を出したのはエルベルトだ。
「おーい! 先生早く早く、怪我人続出みたいだぜ!」
「お、おお。これは…!? 我々が席を外した間に一体何があったのです? ア、アーサ様!? 御髪が…、それにお怪我も!」
「いや、俺の怪我は大丈夫だ。それよりも先生…。早くスズランとハリを診てくれ」
「よく分からないけど俺が来た時にはもうこんな状態だったんだ…。とにかく俺も手伝うんで先生は診察の用意をお願いします」
「あ、ああ。そうだね!」
ジュリアンとエルベルトが手際よく治療の準備を勧めてゆく。その間渡された病衣に着替えた。
「先生…、二人は?」
「大丈夫。二人共気を失っているだけで呼吸も正常のようだよ。直に目を覚ます筈です。念の為に回復を促す煌像術をかけましょう」
「良かった…。ありがとう先生」
「お任せくださいアーサ様」
エルベルトの言葉に漸く安堵できた。
廊下に出るとジュストベルが破れた窓硝子や壊れた医務室の扉に修復の煌像術を施していた。
「……全く。いけませんな。王宮の備品を破壊するなど」
「ジュストベル! その…、廊下と窓は俺じゃあないよ」
「おーい! 先生早く早く、怪我人続出みたいだぜ!」
「お、おお。これは…!? 我々が席を外した間に一体何があったのです? ア、アーサ様!? 御髪が…、それにお怪我も!」
「いや、俺の怪我は大丈夫だ。それよりも先生…。早くスズランとハリを診てくれ」
「よく分からないけど俺が来た時にはもうこんな状態だったんだ…。とにかく俺も手伝うんで先生は診察の用意をお願いします」
「あ、ああ。そうだね!」
ジュリアンとエルベルトが手際よく治療の準備を勧めてゆく。その間渡された病衣に着替えた。
「先生…、二人は?」
「大丈夫。二人共気を失っているだけで呼吸も正常のようだよ。直に目を覚ます筈です。念の為に回復を促す煌像術をかけましょう」
「良かった…。ありがとう先生」
「お任せくださいアーサ様」
エルベルトの言葉に漸く安堵できた。
廊下に出るとジュストベルが破れた窓硝子や壊れた医務室の扉に修復の煌像術を施していた。
「……全く。いけませんな。王宮の備品を破壊するなど」
「ジュストベル! その…、廊下と窓は俺じゃあないよ」