《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
そう言ってスズランが微笑む。不思議と本当に大丈夫だという気持ちが沸き起こる。ラインアーサは意を決して庭園への一歩を踏み出した。
久々に踏む石畳。靴の裏に感じる柔らかい芝生と懐かしい空気感。なんとも心地の良い風が柔らかく吹いた。それでも幼い頃は果てしなく広く感じたこの庭は、やはり限りある庭園なのだと思い知る。
スズランと手を繋ぎ、大樹の下までたどり着く。
「わあっ…近くに来ると本当に大きいね!」
「ああ、ほんと何年振りかな。そこの根に丁度座れるんだ」
腰をかけるのに丁度良い大きさの根が張っており、二人で腰を下ろし空を見上げた。生い茂る葉々で月は隠れたが夜空全体が明るい。
「今日のお月様、明るくてあんまりお星様が見えないかも」
「満月だからかな。いつもはもっと沢山見えるよ」
「そうなんだね! でも、ここからの風景すごく素敵! 空も、草花たちもとっても綺麗で何だか懐かしい感じがして…」
「いいだろ。此処でよくお茶会をしたんだ。珍しい茶葉や姉上が焼いた焼き菓子なんかを持ち寄ってさ」
当時の楽しかった思い出はつい昨日の事の様に思い出す事が出来る。この中庭でジュリアンと剣術や体術の稽古をした事、じゃれ合ってたくさん遊んだ事もまだちゃんと覚えていた。
スズランはラインアーサのたわい無い思い出話に耳を傾けて嬉しそうに、楽しそうに微笑んだ。
久々に踏む石畳。靴の裏に感じる柔らかい芝生と懐かしい空気感。なんとも心地の良い風が柔らかく吹いた。それでも幼い頃は果てしなく広く感じたこの庭は、やはり限りある庭園なのだと思い知る。
スズランと手を繋ぎ、大樹の下までたどり着く。
「わあっ…近くに来ると本当に大きいね!」
「ああ、ほんと何年振りかな。そこの根に丁度座れるんだ」
腰をかけるのに丁度良い大きさの根が張っており、二人で腰を下ろし空を見上げた。生い茂る葉々で月は隠れたが夜空全体が明るい。
「今日のお月様、明るくてあんまりお星様が見えないかも」
「満月だからかな。いつもはもっと沢山見えるよ」
「そうなんだね! でも、ここからの風景すごく素敵! 空も、草花たちもとっても綺麗で何だか懐かしい感じがして…」
「いいだろ。此処でよくお茶会をしたんだ。珍しい茶葉や姉上が焼いた焼き菓子なんかを持ち寄ってさ」
当時の楽しかった思い出はつい昨日の事の様に思い出す事が出来る。この中庭でジュリアンと剣術や体術の稽古をした事、じゃれ合ってたくさん遊んだ事もまだちゃんと覚えていた。
スズランはラインアーサのたわい無い思い出話に耳を傾けて嬉しそうに、楽しそうに微笑んだ。