《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「……うん。物心つく前から着けてて、あるのが当たり前だったから何も無いとなんだか変な感じ」
「ずっと肌に触れてた物が無くなると寂しいだろ…」
「寂しいって訳じゃないけど、わたしがこの国に来る前から唯一身につけていた物だからパパを探すための、何かの手がかりになると思ってたの。それがこんなに特殊な物だったなんて…」
「……」
「でも…! ちゃんと分かって良かった。無事に外すことも出来たし…」
明るく振る舞うもやはりどこか寂しそうに俯くスズラン。ラインアーサは無意識に自身の耳飾りに触れた。
「そうだ! 少し待ってて」
「…? うん…」
「俺のこの耳飾りを片方…。こうして、俺の髪紐に……出来た!!」
ラインアーサは右耳の耳飾りを外し、手首に巻いていた常用の髪紐に通して簡単な首飾りを作った。
その首飾りをスズランの首にそっと着ける。
「……ライア、これ…!」
スズランの胸元に真紅の飾り玉が輝く。
「この耳飾り、俺も子供の頃からずっと着けてる物なんだ。片方、スズランに贈らせて欲しい…」
「そんな、だってこれはライアの大切な物じゃ…」
「もちろん。特に…、スズランに送った右の飾りは俺が幼い頃に祖母から譲り受けた物なんだ」
「やっぱり! そんなに大切な物、頂けないよ…!」
「ずっと肌に触れてた物が無くなると寂しいだろ…」
「寂しいって訳じゃないけど、わたしがこの国に来る前から唯一身につけていた物だからパパを探すための、何かの手がかりになると思ってたの。それがこんなに特殊な物だったなんて…」
「……」
「でも…! ちゃんと分かって良かった。無事に外すことも出来たし…」
明るく振る舞うもやはりどこか寂しそうに俯くスズラン。ラインアーサは無意識に自身の耳飾りに触れた。
「そうだ! 少し待ってて」
「…? うん…」
「俺のこの耳飾りを片方…。こうして、俺の髪紐に……出来た!!」
ラインアーサは右耳の耳飾りを外し、手首に巻いていた常用の髪紐に通して簡単な首飾りを作った。
その首飾りをスズランの首にそっと着ける。
「……ライア、これ…!」
スズランの胸元に真紅の飾り玉が輝く。
「この耳飾り、俺も子供の頃からずっと着けてる物なんだ。片方、スズランに贈らせて欲しい…」
「そんな、だってこれはライアの大切な物じゃ…」
「もちろん。特に…、スズランに送った右の飾りは俺が幼い頃に祖母から譲り受けた物なんだ」
「やっぱり! そんなに大切な物、頂けないよ…!」