《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「わたし、わたしも…!」
「……スズラン、泣かないで…。笑って…?」
ラインアーサはスズランの瞼にそっと口づけをした。
「っ…涙のとまる、おまじない…?」
「なんだ、全然効いてない? じゃあもう一回……ん…」
「っ…ふ…、ふぇえ…っ…ライアのばかぁ…! こんなの、ますます止まらないのに…」
どうやらおまじないをすると逆に涙が止まらなくなってしまったらしい。
「ふふ…。じゃあ、スズランが泣き止むまでずっとこうしていようか…」
「……うん…。ライア、大好き…」
少し意地悪な言い方をしたのに、素直に甘えてラインアーサに身を預け破顔するスズラン。涙の粒が低く傾いた大きな満月の光を受けて淡く煌めく。
「俺も。……愛してるよ。スズラン───」
暫く涙の止まりそうにないスズランを胸に抱き寄せ、そっと髪を撫でる。
互いの不安を打ち消す様に寄り添う二人。
やるべき事や、やらなければいけない事がまだまだたくさんある。これから立ち向かわなければならない事も山積みだ。
しかし、二人の幸せなこの時間は誰にも渡したくない。今、この一時だけは何もかも忘れてもいいだろうか。
───大きな樹の下れ寄り添う二人の影はラインアーサの願いが届いたのか、月明かりが消えつつある朝の霞に隠されたのだった。
終。
「……スズラン、泣かないで…。笑って…?」
ラインアーサはスズランの瞼にそっと口づけをした。
「っ…涙のとまる、おまじない…?」
「なんだ、全然効いてない? じゃあもう一回……ん…」
「っ…ふ…、ふぇえ…っ…ライアのばかぁ…! こんなの、ますます止まらないのに…」
どうやらおまじないをすると逆に涙が止まらなくなってしまったらしい。
「ふふ…。じゃあ、スズランが泣き止むまでずっとこうしていようか…」
「……うん…。ライア、大好き…」
少し意地悪な言い方をしたのに、素直に甘えてラインアーサに身を預け破顔するスズラン。涙の粒が低く傾いた大きな満月の光を受けて淡く煌めく。
「俺も。……愛してるよ。スズラン───」
暫く涙の止まりそうにないスズランを胸に抱き寄せ、そっと髪を撫でる。
互いの不安を打ち消す様に寄り添う二人。
やるべき事や、やらなければいけない事がまだまだたくさんある。これから立ち向かわなければならない事も山積みだ。
しかし、二人の幸せなこの時間は誰にも渡したくない。今、この一時だけは何もかも忘れてもいいだろうか。
───大きな樹の下れ寄り添う二人の影はラインアーサの願いが届いたのか、月明かりが消えつつある朝の霞に隠されたのだった。
終。