《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「あ、あの……お客さん…?」
鈴を転がす様な澄んだ声に呼ばれ、我に返る。
「君、さっき店の裏で…」
「??」
髪型が違うからなのかマントを脱いだからなのか……。先程〝警備隊員〟として出逢っているのだが、ラインアーサと同一人物だと言う事に気付いていない様子だ。それならば早々に名を名乗り、彼女の名を聞き出せば良い。情報収集ではないとなると、それこそ個人的なナンパという事になるのだろうか? などと考えるもラインアーサは椅子から立ち上がり、笑顔で店員の女性に明るく声をかけた。
「俺の名前はライア! 君は? 良かったら君の仕事が終わった後一緒に…っぐあっ!?」
突然脇の辺りに衝撃が走る。身を屈めて脇腹をさすっていると頭の上から先ほどとは程遠い低い声が降ってきた。
「お客さん……注文は以上ですか?」
そこには店の入り口で席を案内してくれた若い男性店員が立っていた。そして何故か拳を握っている。ラインアーサの脇腹を小突いたのは、その拳である事は間違いない。
「ちょっと、何するんだよおにーさん。今の結構痛かったんだけど?」
わざとらしく脇腹を擦りながら睨みつけると、その店員の後ろに隠される様にあの女性が立っていた。
鈴を転がす様な澄んだ声に呼ばれ、我に返る。
「君、さっき店の裏で…」
「??」
髪型が違うからなのかマントを脱いだからなのか……。先程〝警備隊員〟として出逢っているのだが、ラインアーサと同一人物だと言う事に気付いていない様子だ。それならば早々に名を名乗り、彼女の名を聞き出せば良い。情報収集ではないとなると、それこそ個人的なナンパという事になるのだろうか? などと考えるもラインアーサは椅子から立ち上がり、笑顔で店員の女性に明るく声をかけた。
「俺の名前はライア! 君は? 良かったら君の仕事が終わった後一緒に…っぐあっ!?」
突然脇の辺りに衝撃が走る。身を屈めて脇腹をさすっていると頭の上から先ほどとは程遠い低い声が降ってきた。
「お客さん……注文は以上ですか?」
そこには店の入り口で席を案内してくれた若い男性店員が立っていた。そして何故か拳を握っている。ラインアーサの脇腹を小突いたのは、その拳である事は間違いない。
「ちょっと、何するんだよおにーさん。今の結構痛かったんだけど?」
わざとらしく脇腹を擦りながら睨みつけると、その店員の後ろに隠される様にあの女性が立っていた。