《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「セィシェル…! わたし注文くらいちゃんと取れるよ? もう子供じゃないっていつも言ってるのに!」
「今日はもういい……スズはもう上がるか裏の片付けに回っとけ。また忙しい時に料理とか運んでもらうから」
「でもっ、少しくらい手伝わせて! 今日は特別忙しいんでしょ?」
「平気だって言ってるだろ!」
何やら二人で揉めているようだがラインアーサは注文の事などすっかり忘れていた。何故ならたった今聞こえてきた名前が、ラインアーサの頭の中を支配してしまったのだ。
スズと呼ばれる先程出逢った、この女性。
ラインアーサの幼い初恋相手の名と重なる。そして、思い切り脇腹を小突いて来たこの男性店員の名はセィシェル。
遠い記憶が呼び起こされる────。
もはや間違いないだろう。
ラインアーサは呆然と二人を見比べた。
「お客さん、注文の追加は構わないけどうちの店員に個人的に声をかけるのは……んん? あんた! まさか……ライアとかいう変態ロリコン男か!?」
「は? 変態ロリコン?!」
言われのない呼称にラインアーサは憤慨し顔を顰めた。
「セ、セィシェルの知り合いなの?」
「こんな奴、知り合いなもんか!!」
「今日はもういい……スズはもう上がるか裏の片付けに回っとけ。また忙しい時に料理とか運んでもらうから」
「でもっ、少しくらい手伝わせて! 今日は特別忙しいんでしょ?」
「平気だって言ってるだろ!」
何やら二人で揉めているようだがラインアーサは注文の事などすっかり忘れていた。何故ならたった今聞こえてきた名前が、ラインアーサの頭の中を支配してしまったのだ。
スズと呼ばれる先程出逢った、この女性。
ラインアーサの幼い初恋相手の名と重なる。そして、思い切り脇腹を小突いて来たこの男性店員の名はセィシェル。
遠い記憶が呼び起こされる────。
もはや間違いないだろう。
ラインアーサは呆然と二人を見比べた。
「お客さん、注文の追加は構わないけどうちの店員に個人的に声をかけるのは……んん? あんた! まさか……ライアとかいう変態ロリコン男か!?」
「は? 変態ロリコン?!」
言われのない呼称にラインアーサは憤慨し顔を顰めた。
「セ、セィシェルの知り合いなの?」
「こんな奴、知り合いなもんか!!」