《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
声に振り向くと、先程までハリが座っていた席に随分と派手な印象の女性が座っており、勝手に料理を口に運んでいた。
「……それ、俺のなんだけど」
「温かいうちに食べないと勿体無いわ」
ラインアーサは短く息を吐き、その女性の隣に腰を下ろした。
「あの子ね、異国情緒溢れる容姿が男性客に凄く人気みたいね。いわゆるここの看板娘ってやつなのよ」
あの子とはスズの事を指すのだろう。
頼みもしていないのに女性は喋り続ける。
「……で。あの子に声をかけたり、個人的に誘う様な男が来ると必ずセィシェルってさっきの男の子が来て今の貴方みたいに厳しく注意されるってわけ。この酒場では良く目にする光景みたいよ……ふふ」
「何がおかしい?」
その女性の含みのある笑みが無性にラインアーサを苛立たせた。
「…っだって、お兄さんの顔! ものすごぉく傷付いたって顔をしてるんだもの! あはっ」
終には吹き出す女性。吹き出す程そこまで酷い顔をしているのだろうか。
「はあ。それであのスズって子は…」
「あの子はスズランちゃんって言ってね、ここに住み込みで働いてるの。それから、セィシェルって子はこの酒場のマスターの一人息子よ」
「……それ、俺のなんだけど」
「温かいうちに食べないと勿体無いわ」
ラインアーサは短く息を吐き、その女性の隣に腰を下ろした。
「あの子ね、異国情緒溢れる容姿が男性客に凄く人気みたいね。いわゆるここの看板娘ってやつなのよ」
あの子とはスズの事を指すのだろう。
頼みもしていないのに女性は喋り続ける。
「……で。あの子に声をかけたり、個人的に誘う様な男が来ると必ずセィシェルってさっきの男の子が来て今の貴方みたいに厳しく注意されるってわけ。この酒場では良く目にする光景みたいよ……ふふ」
「何がおかしい?」
その女性の含みのある笑みが無性にラインアーサを苛立たせた。
「…っだって、お兄さんの顔! ものすごぉく傷付いたって顔をしてるんだもの! あはっ」
終には吹き出す女性。吹き出す程そこまで酷い顔をしているのだろうか。
「はあ。それであのスズって子は…」
「あの子はスズランちゃんって言ってね、ここに住み込みで働いてるの。それから、セィシェルって子はこの酒場のマスターの一人息子よ」