《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
イリアーナはそれを恐れ、身動きが取れず都市に留まっていたのだ。そもそも連絡手段も無ければ都市と大陸を繋ぐ列車の路線は破壊されており、イリアーナ一人の力では到底帰って来れない状態だった。どんなに辛く、心細い思いをしたのか計り知れない。
「だから、父上っ」
「分かっているよアーサ。既に本日付でオゥ鉱脈都市には警備隊を派遣した。直ぐに連絡を取れる様、煌像術に長けた者も数名同行している。オゥは我々シュサイラスアの傘下都市なのだから一度は断念してしまったが今度こそ復興出来る様努めよう」
「ありがとう父上! それで、姉上は?」
「この後イリアと一緒にルチア婦人とセディ君の所に挨拶に向かう予定だよ。もちろん二人の婚約発表が出来るようにね」
そう言ってライオネルは軽く片目を閉じて見せた。
「よかった!」
「しかしアーサ。今回もイリアの居場所を掴む為とはいえ、また随分と無茶をした様だけど大丈夫なのかな? ちゃんと自分の事も考えているのかい? なんなら国内や他国の御令嬢から沢山来ている縁談の一つを受けてみても良いのだよ?」
喜ばしい話題にすっかり安堵していた所、またもやその話題に戻されラインアーサはあからさまに顔を顰めた。
「だから、父上っ」
「分かっているよアーサ。既に本日付でオゥ鉱脈都市には警備隊を派遣した。直ぐに連絡を取れる様、煌像術に長けた者も数名同行している。オゥは我々シュサイラスアの傘下都市なのだから一度は断念してしまったが今度こそ復興出来る様努めよう」
「ありがとう父上! それで、姉上は?」
「この後イリアと一緒にルチア婦人とセディ君の所に挨拶に向かう予定だよ。もちろん二人の婚約発表が出来るようにね」
そう言ってライオネルは軽く片目を閉じて見せた。
「よかった!」
「しかしアーサ。今回もイリアの居場所を掴む為とはいえ、また随分と無茶をした様だけど大丈夫なのかな? ちゃんと自分の事も考えているのかい? なんなら国内や他国の御令嬢から沢山来ている縁談の一つを受けてみても良いのだよ?」
喜ばしい話題にすっかり安堵していた所、またもやその話題に戻されラインアーサはあからさまに顔を顰めた。