《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「父上……俺は、まだやりたい事があってすぐに縁談や婚約という気分にはなれない」
ライオネルは腕を組み深く息を吐くとラインアーサを見据えた。
「……ハリ君の事だね? だが彼はおそらくルゥアンダ帝国出身だよ。彼の家族を探すのこそ、そう簡単にいかない」
「だけど、ハリは時々はっとするような雰囲気の時があるんだ。俺の側近なんかやってて良いのかなって」
「ハリ君はなんて言ってるんだい?」
「生涯この国に居ても良いみたいなこと言ってるけど、おかしいだろ? 姉上だってそうだったんだ、本当は国に帰りたいって思ってるかも……」
ラインアーサは日頃からハリに感じている想いを打ち明けた。身内の捜索でさえ何年も費やしたのだ。人捜しがそう簡単ではないのは充分理解している。
「しかしアーサ。現在ルゥアンダ帝国には入国出来ない。無茶をして父様を心配させないでおくれよ?」
「……わかってるよ」
極夜の国・ルゥアンダ帝国は先の内乱の首謀国であり、今は鎖国を貫き沈黙状態にある。内乱を起こしたルゥアンダ帝国が憎くない訳では無いが、家族が離れ離れなのは何処の国や土地だろうと関係なく気に掛かるのだ。
ラインアーサ自身がそうだったのだから。
ライオネルは腕を組み深く息を吐くとラインアーサを見据えた。
「……ハリ君の事だね? だが彼はおそらくルゥアンダ帝国出身だよ。彼の家族を探すのこそ、そう簡単にいかない」
「だけど、ハリは時々はっとするような雰囲気の時があるんだ。俺の側近なんかやってて良いのかなって」
「ハリ君はなんて言ってるんだい?」
「生涯この国に居ても良いみたいなこと言ってるけど、おかしいだろ? 姉上だってそうだったんだ、本当は国に帰りたいって思ってるかも……」
ラインアーサは日頃からハリに感じている想いを打ち明けた。身内の捜索でさえ何年も費やしたのだ。人捜しがそう簡単ではないのは充分理解している。
「しかしアーサ。現在ルゥアンダ帝国には入国出来ない。無茶をして父様を心配させないでおくれよ?」
「……わかってるよ」
極夜の国・ルゥアンダ帝国は先の内乱の首謀国であり、今は鎖国を貫き沈黙状態にある。内乱を起こしたルゥアンダ帝国が憎くない訳では無いが、家族が離れ離れなのは何処の国や土地だろうと関係なく気に掛かるのだ。
ラインアーサ自身がそうだったのだから。