《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「あ、こっちよ! ライア!! ふぅん? 今日も来たわね。もう何日目かしら? よく続くわねぇ、うふふ」

 誤解が解けない理由の一つ、エリィだ。
 エリィはラインアーサがカウンターに席を取ると意味深な笑みを浮かべ様隣に座る。あの日出会ったエリィは服装、化粧共にとても華やかで派手な見た目の女性だ。以来エリィは酒場(バル)でラインアーサを見かけると何かと纏わり付き離れない。
 流れる濃紺(のうこん)の髪に星の様な色の瞳が印象深く、誰が見ても認める程の美女だ。その上、服装はやけに露出が高い。
 そこへ理由の二つ目、セィシェルがやって来るともう最悪だ。

「また来たのかよ変態男! 何度来たってスズには絶対会わせないぜ!!」

 そう悪態をつきながら渋々注文を取るセィシェルに、毎度の事苛立つ。エリィのおかげなのかは怪しいが、どうやら一番不名誉な〝ロリコン〟疑惑はどうにか晴れた様だ。だがまだ〝変態〟という呼称が残っている。

「ここまであの番犬(ナイト)君から嫌われてる人、初めて見たわ……なにも酒場(バル)はここだけじゃあないんだしいっその事店を変えたら? あたし、他にもいい雰囲気の酒場(バル)知ってるけど一緒にどお?」

「俺はスズランに話があって来てるんだが……」

 不名誉な誤解を解く為に。
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