《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
もう酒場に通うのは今日で終わりにしよう。かなり敗北感は残るものの、これ以上ライオネルやハリの心労を増やすよりは良いだろう。
「未成年の子供相手に大人げないか……」
エリィと別れ、会計を済ましたラインアーサは森の中を通り抜けようと、酒場の裏手に回り込んだ。丁度その瞬間、建物の裏口が開き酒瓶の入った木箱を重そうに抱えた人物と出くわす。今にも落としそうな危なっかしい様子につい声が出た。
「っ! ……危ない!!」
「きゃ!!」
突然の大きな声に驚いたのか限界だったのか案の定、木箱は派手な音を立て地面に落下した。
「ああっ! またセィシェルに怒られちゃう……何本か割れちゃったかなあ?」
覚束ない手付きで瓶を確認するスズラン。そんなに安易に瓶に触れたら……
「っい た!」
予想通りの展開にラインアーサはため息を吐きながらスズランに歩み寄る。
「……お前、何やってるんだ?」
「あ、あなたは……ライア!」
(っ!!)
唐突に名を呼ばれ、どきりとした。しかしラインアーサの姿を確認するや否や、スズランの顔が一気に引きつる。やはり実際に何かをした訳でもないのに、そんな反応をされるのは気に食わない。
「未成年の子供相手に大人げないか……」
エリィと別れ、会計を済ましたラインアーサは森の中を通り抜けようと、酒場の裏手に回り込んだ。丁度その瞬間、建物の裏口が開き酒瓶の入った木箱を重そうに抱えた人物と出くわす。今にも落としそうな危なっかしい様子につい声が出た。
「っ! ……危ない!!」
「きゃ!!」
突然の大きな声に驚いたのか限界だったのか案の定、木箱は派手な音を立て地面に落下した。
「ああっ! またセィシェルに怒られちゃう……何本か割れちゃったかなあ?」
覚束ない手付きで瓶を確認するスズラン。そんなに安易に瓶に触れたら……
「っい た!」
予想通りの展開にラインアーサはため息を吐きながらスズランに歩み寄る。
「……お前、何やってるんだ?」
「あ、あなたは……ライア!」
(っ!!)
唐突に名を呼ばれ、どきりとした。しかしラインアーサの姿を確認するや否や、スズランの顔が一気に引きつる。やはり実際に何かをした訳でもないのに、そんな反応をされるのは気に食わない。