《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
ラインアーサは知らない。
色恋においては、今まで嘘や駆け引きなど多少割り切って異性と交際してきた為、自分の気持ちを素直に伝える方法を知らないのだ。
仄かに湧き上がる純粋な感情に正直になれない。
「おい、スズ? まだ片付かな……なっ? 変態野郎っ!? 何であんたが此処に居るんだっ! ……まさかスズに何かしたのかよ!?」
突如裏口からセィシェルが現れた。刺す様な視線でこちらを睨みつけながら勢い良くスズランに駆け寄りラインアーサの前に立ち塞がるも、スズランの腕を掴んで無理矢理立たせると、その細い腰に手を回し強引に引き寄せた。
「セィ、シェル!? やだっ、はなして!」
セィシェルはラインアーサを睨みつけたまま性急にスズランの頬へ唇を押し付けた。スズランはますます真っ赤になり俯いてしまった。
「っ…!!」
「あんたは女なんて不自由しないし誰でも良いだろーけど、俺はずっと前から一人って決めてる! だからスズに手をだすなよ!!」
(っ…女に不自由していない、誰でも良い、だと?)
その物言いにまたもや言われのない苛立ちを感じる。だがそんなことよりもセィシェルの真っ直ぐな想いに激しく動揺した。
色恋においては、今まで嘘や駆け引きなど多少割り切って異性と交際してきた為、自分の気持ちを素直に伝える方法を知らないのだ。
仄かに湧き上がる純粋な感情に正直になれない。
「おい、スズ? まだ片付かな……なっ? 変態野郎っ!? 何であんたが此処に居るんだっ! ……まさかスズに何かしたのかよ!?」
突如裏口からセィシェルが現れた。刺す様な視線でこちらを睨みつけながら勢い良くスズランに駆け寄りラインアーサの前に立ち塞がるも、スズランの腕を掴んで無理矢理立たせると、その細い腰に手を回し強引に引き寄せた。
「セィ、シェル!? やだっ、はなして!」
セィシェルはラインアーサを睨みつけたまま性急にスズランの頬へ唇を押し付けた。スズランはますます真っ赤になり俯いてしまった。
「っ…!!」
「あんたは女なんて不自由しないし誰でも良いだろーけど、俺はずっと前から一人って決めてる! だからスズに手をだすなよ!!」
(っ…女に不自由していない、誰でも良い、だと?)
その物言いにまたもや言われのない苛立ちを感じる。だがそんなことよりもセィシェルの真っ直ぐな想いに激しく動揺した。