《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
口づけの時といい……疑う、という事を知らないのだろうか。それでも今はその純真な心を利用させてもらおう。今、正体を明かせば忽ち警戒されてしまうだろう。
ラインアーサはさりげなく前髪を撫で付け目元を隠した。
「警備さんはあんまりお酒好きじゃない? うちのマスターの自慢はお酒だけじゃなくて、お料理もとっても美味しいって評判なの! よかったらまた来てね」
スズランはにこりと微笑むとラインアーサをじっと見つめた。その眼差しに堪えられず、つい瞳をそらしてしまう。
「あ、ああ、麦酒。あと卵料理がうまかったな……」
「そうなの! マスターが仕入れにこだわってるって言ってたもの」
酒場の話をするスズランは嬉しそうだ。そんな姿を見ていたら自然と言葉が出てきた。
「スズランは、酒場の仕事が好きなんだな……」
「うん! でも警備さんこそ、こんな遅くまでお疲れ様。それにこの森は警備さんが守ってくれてるんでしょ? だから、夜でもぜんぜん怖くなかったよ」
「……そうか」
実際この森や王宮周辺にはライオネルによる強い結界が張ってあり、比較的安全ではある。
ラインアーサはさりげなく前髪を撫で付け目元を隠した。
「警備さんはあんまりお酒好きじゃない? うちのマスターの自慢はお酒だけじゃなくて、お料理もとっても美味しいって評判なの! よかったらまた来てね」
スズランはにこりと微笑むとラインアーサをじっと見つめた。その眼差しに堪えられず、つい瞳をそらしてしまう。
「あ、ああ、麦酒。あと卵料理がうまかったな……」
「そうなの! マスターが仕入れにこだわってるって言ってたもの」
酒場の話をするスズランは嬉しそうだ。そんな姿を見ていたら自然と言葉が出てきた。
「スズランは、酒場の仕事が好きなんだな……」
「うん! でも警備さんこそ、こんな遅くまでお疲れ様。それにこの森は警備さんが守ってくれてるんでしょ? だから、夜でもぜんぜん怖くなかったよ」
「……そうか」
実際この森や王宮周辺にはライオネルによる強い結界が張ってあり、比較的安全ではある。