《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
ラインアーサが警備を勤めている訳では無いが、その結界内で悪事を働けばすぐ様本物の警備隊がやってくるだろう。
「それにマスターは捨て子だったわたしの事を本当の娘のように育ててくれたの。だからたくさん働いて恩返ししなきゃ……」
そう言うとスズランは石橋の欄干に腰を掛けた。
「……」
捨て子……。
結局スズランの父親は迎えに来なかったと言う事なのか?それとも、イリアーナやハリの様に何らかの事情があるのだろうか。後者だと思いたい。それもおおかた、内乱被害の所為だろう。
シュサイラスア国内だけでは無い。世界中に内乱の被害者が溢れている。十一年の月日を経て、漸く以前の様な平和な暮らしに戻りつつあるが……。
スズランもまたあの内乱のせいで苦しんでいる一人なのだ。その事を考えると、ラインアーサは自分は本当に何も出来ない無力な存在だと嫌でも捉えてしまう。
「……ごめんなさい。こんなお話して……警備さん、まだお仕事中なのに」
「いや、いいんだ。そんな事より君は捨て子などでは無い……きっと、何か理由があって君の事を迎えに来られないだけなんだ。だからそんな風に自分の事を…」
「それにマスターは捨て子だったわたしの事を本当の娘のように育ててくれたの。だからたくさん働いて恩返ししなきゃ……」
そう言うとスズランは石橋の欄干に腰を掛けた。
「……」
捨て子……。
結局スズランの父親は迎えに来なかったと言う事なのか?それとも、イリアーナやハリの様に何らかの事情があるのだろうか。後者だと思いたい。それもおおかた、内乱被害の所為だろう。
シュサイラスア国内だけでは無い。世界中に内乱の被害者が溢れている。十一年の月日を経て、漸く以前の様な平和な暮らしに戻りつつあるが……。
スズランもまたあの内乱のせいで苦しんでいる一人なのだ。その事を考えると、ラインアーサは自分は本当に何も出来ない無力な存在だと嫌でも捉えてしまう。
「……ごめんなさい。こんなお話して……警備さん、まだお仕事中なのに」
「いや、いいんだ。そんな事より君は捨て子などでは無い……きっと、何か理由があって君の事を迎えに来られないだけなんだ。だからそんな風に自分の事を…」