《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
雷花の国。フリュイ公国───。
結局ラインアーサは床に就いてからも熟睡出来ずに考えてしまうのはスズランの事ばかりだった。部屋に差し込む朝の光の眩しさで、不意に目を覚ます。
「……ん、もう朝なのか?」
いつの間にか眠っていたらしいが、全くそんな気がしない。それどころか酷い頭痛と倦怠感に襲われる。どうやら体調を崩したらしい。おもむろにベッドから起き上がり身支度を整えたが、余りの気怠さに顔を顰める。そもそもあまり朝は強くない体質だ。
そのとき、出し抜けに自室の扉が叩かれた。ハリが来たのだろう思い「どうぞ」と返事をするも、入って来た人物の姿にラインアーサは瞳を見開いた。
「……ジュストべル!」
ジュストベルはシュサイラスア大国の重臣でありラインアーサの教育係だ。物腰柔らかな雰囲気を纏う老人だが、卒なく着こなした衣類や身だしなみから彼の人物の厳格さが見て取れる。
「お早うございます。ラインアーサ様」
にっこりと微笑むその人物に対して、ラインアーサはばつの悪い笑顔を浮かべた。
「お早う……久しぶりだな!」
「大変お久しゅうございますが、お変わりございません様で。さておき……貴方様には今一度、私の再教育が必要かと」
結局ラインアーサは床に就いてからも熟睡出来ずに考えてしまうのはスズランの事ばかりだった。部屋に差し込む朝の光の眩しさで、不意に目を覚ます。
「……ん、もう朝なのか?」
いつの間にか眠っていたらしいが、全くそんな気がしない。それどころか酷い頭痛と倦怠感に襲われる。どうやら体調を崩したらしい。おもむろにベッドから起き上がり身支度を整えたが、余りの気怠さに顔を顰める。そもそもあまり朝は強くない体質だ。
そのとき、出し抜けに自室の扉が叩かれた。ハリが来たのだろう思い「どうぞ」と返事をするも、入って来た人物の姿にラインアーサは瞳を見開いた。
「……ジュストべル!」
ジュストベルはシュサイラスア大国の重臣でありラインアーサの教育係だ。物腰柔らかな雰囲気を纏う老人だが、卒なく着こなした衣類や身だしなみから彼の人物の厳格さが見て取れる。
「お早うございます。ラインアーサ様」
にっこりと微笑むその人物に対して、ラインアーサはばつの悪い笑顔を浮かべた。
「お早う……久しぶりだな!」
「大変お久しゅうございますが、お変わりございません様で。さておき……貴方様には今一度、私の再教育が必要かと」