15歳、アンタとワタシ
15歳、アンタとワタシ



「ねぇ、サキコ。最近、アラタとはどうなの?」

学校帰りの放課後、カナと寄り道をして買った肉まんの袋をガサガサと開けていると、ふいに投げかけられる質問。


「どう?も、何も…普通に隣に住んでるけど?」

そう、カナが言うアラタとは、赤ちゃんの頃から社宅アパートの隣に住んでいる幼馴染。
どうも、15歳の思春期というのは誰かと誰かをくっつけたくて仕方ないらしい。



肉まんから流れてくる湯気ごと口の中に頬張る。
口の中に広がる温かい幸せを噛み締めて「あー、幸せ」と、目を細めていると「安い幸せねー」なんてカナは呆れて言う。



それもそうだ。このくらいしか幸せと感じるものがないのだから。
今、うちの家は緊迫している。
父と母が離婚の話しを持ち出している。
よくあること、と、自分の身に降り注ぐ前は冷やかした目で言っていたと思う。
けれど、よくあることの中でも自分も当事者になると感覚がまるで違う。


「あー、帰りたくない」
ポツリと呟いた私の言葉は初冬の寒空の中に紛れて消えた。




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