15歳、アンタとワタシ
住んでいる社宅アパートの周りというのは、小さな公園が一つあるだけ。
小さな頃、アラタと一緒によく遊んだ。
近所にはそこしか公園はなく、敷地内ということもあり、子どもだけで秘密基地を作ったりして遊んだこともあった。
数日前は落ち葉があったのに、公園に足を踏み入れると、清掃されて綺麗になっていた。
公園には、ブランコと滑り台、鉄棒、シーソーが置かれており、隅にはなぜか昔から折れた枝が無数に転がっている。
ブランコは、奇妙な音を鳴らして、揺れている。
「錆びてる…」
錆びた鉄の臭いが、鼻を刺激した。
変わらない風景に、自分を重ねるとかなり歳をとってしまったような気分になるから不思議だ。
鉄棒のすぐ後ろに大きな岩があって
その横に穴が空いている。
その穴は戦時中の防空壕だ、とか、昔は騒いだりしたけれど、中には何もなかった。
そもそも1メートル四方しかない防空壕なんて存在するものだろうか。
この穴を秘密基地だと呼び、家を飛び出してはここで頭を冷やしていた。
「…狭…い」
中を覗くと、あんなに広く感じていた中がとても窮屈で。
なんだか無性に切なさがこみ上げた。