15歳、アンタとワタシ
「…アンタ、何してんの?」
消え入るような細い声でアラタに声を掛けると、アラタはブランコを揺らしながら私に向かって言葉を発する。
「やっと来た」
「やっと、来た?ずっと待ってたの?」
なぜ、私がいなくなったこと分かるのか、そんなことは安易に想像付く。
母がきっと、アラタの家に行ったのだと思ったのだろう。
「…おばちゃん、心配してたぞ」
「……あんな人、知らない」
可愛げのない言葉が宙を舞う。
アラタは怒るわけでも慰めるわけでもなく「そっか」と呟いた。
心地良い居場所。
心地良い距離感。
「まぁ、俺ら15だし?自活出来るかって言われたら…まぁ、な。無理だわな」
頭を掻きながら独り言のように言うアラタも、私に何と言葉をかけて良いのか分からないのだろう。
けれど、私の考えていることと、アラタの考えていることは一致する。
「別に、一人で生きて行けるなんて思ってないわよ」
「まぁ、な。俺ら15だし?……無力だよな。親に着いていくしか生きる術なんて知らないし」
「そうね…」
家出して歳をごまかして働いて…なんて、温室で育った私に出来るなんて思わない。
だから、親に着いていくしか生きる術はない。