ずるい人
ふぇ…?
不意に聞こえた声のほうを見ると、類君がいた。
私と目が合うと、類君はさっと視線をずらした。
その様子を見ていた花梨が、
「そっか、類君と月、乗り換え先の電車同じなんだっけ。
…あ、じゃあさ!!
一緒に行けばいいんじゃない?」
……!?
「え!?いや、それは類君に迷惑かかるでしょ!!」
でも、皆は、いいねーとかこれなら安心とか言って、聞いていない…
きっと、類君は嫌がると思う。
「まあまあ。これで、月は迷わなくてすむし…」
花梨は私をなだめるようにいい、言葉を切って私にこう耳打ちした。
『類君と二人きりになれるしね♪』
「えっ…」
嘘、私、ずっと隠してたつもりなのに…
花梨には、類君への私の気持ちが分かっていたみたい。
私は、どうしようもなく真っ赤になった。