ずるい人
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「ふあぁ~…」
欠伸が出るような時間帯に家を出る。
現在、5時30分。
電車は一本で済むものの、一時間半は余裕でかかるため、こんな時間に家を出なければならない。
正直朝は弱いので、早起きは苦手な私。
それでもパッと起きられたのは、やっぱり期待している所があるからだと思う。
──昨日、あんな雰囲気だったのに、どこに期待しているんだろう。
まだ残暑の残るこの時期の明け方は、なんだかスッキリした空気。
そんな空気を吸い込んで、暗くなった気持ちを振り切る。
ホームに到着して、類君の乗る電車をまつ。
───…
電車が来た。
電車に乗るだけなのに、ものすごくドキドキしている。
五両目に乗り込む。
そこには、私服姿の類君が席に座っていた。