ずるい人
シンプルなジーンズとTシャツに、青いパーカーを羽織った類君は、なんだかいつもと違う雰囲気。
大人っぽくて、高校生には見えない。
「おはよう、類君。」
「ん。おはよー。」
こないだは、類君が私の隣に座った。
嫌われようが、ここで勇気を出さなきゃ。
そう思って、私は類君の隣に座った。
類君は、特に反応は見せなかったけど、それは隣にいていいという無言の肯定だと、私は勝手に解釈した。
電車が動き出す。
車内には、私たち以外、誰もいない。
何となく、今日類君と仲良くならなかったら次はない気がした。
「今日は楽しみだね!」
「そうだね~、俺ジェットコースター好き。」
──…好き。
その言葉にドキリとした。
ただジェットコースターが好きと言っただけなのに。