ずるい人
「へ、へえ~!
じゃあ今日すごい楽しみでしょ?」
「うん。」
少し類君表情が緩んだ。
そのあと、お互い何となく会話が続いて、気づけば20分は過ぎていた。
こんなに会話したのは初めてで、私はにやけそうな顔をあわてて引き締める。
もう5駅過ぎているのに、まだ誰も乗ってこない。
「ふあぁ~…」
不意に類君が眠そうに欠伸をした。
「類君眠いの?
寝てていいよ。私起きてるから。」
こういうセリフ、多分男の子が言う言葉なんだろうけど、類君があまりに眠そうだったので私は思わず言っていた。
「ん~、じゃあ、寝る…」
そう言って目を閉じた類君。
───不意に、左肩に重みがかかった。
類君のふわふわの茶色い髪の毛が首筋に当たる。
私は、突然の展開に驚いた。
ど、どうしよう…
心臓のドキドキは高鳴るばかりで。
このままじゃ、類君に聞こえてしまう位。
私の肩に頭を乗せた類君からは、しばらくすると規則正しい寝息が聞こえてきた。