ずるい人
ドキドキドキドキ…
心臓の音は鳴り止まない。
昨日、迷惑そうな態度とっておきながら、今日は私の肩に寄りかかるほど近くにいる類君。
はあ。
分かっている。
その類君の行動すべてが"無自覚"なんだってことは。
けど、ここまで期待させておいて私を溺れさせる類君は、ずるいにも程がある。
少し類君の顔を覗く。
色の白い肌に、整った顔のパーツ。
睫毛なんか、外国の人形みたいに長くて、女の私からみて羨ましいくらい。
この人に、私は振り回されて悩んでいるのに。
しっかり寝ている類君が少し恨めしくなって、私は類君のほっぺを人指し指でツンツンと押した。
「ん~…」
あ、少し起こしちゃったかな。
よし、いじるのはやめよう。
そう思ったとき、私の耳には、あり得ない言葉が聞こえてきた。