ずるい人
電車早く来ないかな~…
ああ~…体に力が入らない。
ちらっと類君のほうを見てみるけど、ボーッと前を眺めているだけで、私の方なんて気にする様子もない。
この人の残念なところ。
女の子に気が使えないところだ。
まあ、私が女の子と認識されているかは定かじゃないけど。
暫くして電車がやっときた。
通勤ラッシュとは無縁といっていいほどひとのいない車内。
席は十分に空いていた。
私も類君も無言で乗り込む。
うーん、座ろうかな。
どうしよう。
考えていると、類君がパッと私のほうをみた。
「な、なに?」
少し期待。
だけど、類君から言われたのは。
「座ってもいい?」
という、なんとも残念な一言だった。
それ、病人にいう言葉ですか!?
私、死にそうなくらい辛いんですけど!?