ずるい人
気持ちが通じあった余韻が、甘い雰囲気となって、沈黙を運ぶ。
《次は─***駅─》
アナウンスが流れる。
さすがにそろそろ人が乗ってくるだろう。
目的の駅までは、あと二駅。
「なんだか今日の類君は積極的だよね。」
「今日ちゃんと言わなきゃ、もうチャンスは二度とない気がした。」
類君の発言に、私は嬉しくなった。
類君も私と同じ気持ちでいてくれたんだ。
「ふふっ…
なんか、嬉しいな。」
私がはにかんだ時だった。
「─月──…」
類君が、初めて私の名前を呼んで、私の唇を塞いだ──。
──一緒に出掛けた場合。
あなたは私の恋人になった────…
ああ本当に、君はずるい人だ。
*END*