俺しかいない
「桜ちゃん~!!」
俺は走りながら名前を呼んだ。
すると、二人の男はこちらを見るなり、突然
「あんた、この子の知り合いか!?
ちょっと、なんとかしてくれよ~」
と俺に言い寄ってきた。
なんなんだ?
こいつらは?
ちらっと桜ちゃんを見ると
桜ちゃんはその小さな両手を揃えて、何かを持っている。
よく見るとそれは小さなヤドカリだった。
「あ、ヤドカリじゃん。
桜ちゃんこれ捕まえたの?」
「うん、そこにいたの」
桜ちゃんは笑顔で答える。
俺はまたその笑顔で危うく殺されるところだった。
「あんた、あと頼むわ」
俺の後ろにしがみついていた二人は、そそくさと逃げ去って行った。
ほんとなんだあいつら?
ナンパじゃなかったのか?
俺は男二人の行動が気になったが
それは桜ちゃんの次の言葉で明らかとなった。