俺しかいない
「おい」
誰かが俺のすぐ後ろで声をかけてきた。
俺はぼんやりしながら
ゆっくりと後ろを振り向いた。
「あ~、拓哉か~」
「お前、桜ちゃんいたなら連絡しろよ。
携帯持ってんだろ?」
「あぁ、そうだ桜ちゃんは…?」
「ここだよ」
微笑みながら答えた桜ちゃんは
まだ俺の隣に座っている。
「駿たちバテたらしくて
先帰るとさ」
…勝手なやつら
俺はそう思ったが、美里が俺のために手配してくれたのかもしれない。
おまけに拓哉は確か今から里帰りじゃなかったか?
「じゃあ、俺もちょっと早く帰って田舎帰る支度すっから。
翔、桜ちゃん頼むわ」
やっぱり
「おう、おつかれ~」
俺は拓哉に手を降った。
俺の隣では桜ちゃんも小さく手を降っている。