俺しかいない
「じゃあ桜ちゃん、俺らも帰る?」
「うん。
名前、桜でいいよ。私も翔って呼ぶね」
「そか、わかった」
俺達はお互いに笑みを交わしてから立ち上がる。
服についた砂を払い落とす桜の姿が、夕日に染まって一層不思議な魅力が漂っていた。
ん~
桜は不思議っ子か…───
それも相当だなこれは
だから美里も華世ちゃんもあんま心配しなかったのか
改めて桜の顔を見ると
その黒く大きな瞳は
好奇心の光でキラキラしていた。