俺しかいない



美里はうつむいたまま話し出した。



「桜ね、この間彼氏とのデートから帰ってきたとき、頬に痣作って帰ってきたの…

それでお願いがあるんだけど──…」















へ!?








「っていうか、桜って彼氏いんの!?」










俺はそっちの方にびっくりした。

てっきり桜はフリーなのかと…




じゃあ、俺は人の女をかっさらおうとしてたってことになるのか!?









「黙っててゴメンっ!

でもね、私と華世からのお願いっていうのは…

桜を翔の彼女にしてあげてほしいの!!」










はァ!?







俺は口を金魚のようにパクパクさせた。








「そ…れって

俺が…桜の二股相手になれってこと…なのか!?」










俺の思考はネジの抜けた機械のように、ピタリと停止してしまった。










< 29 / 52 >

この作品をシェア

pagetop