俺しかいない
俺にできること…かぁ
あれから部屋に戻ったきり
俺はベッドの上で思いにふけっていた。
そんな俺をよそに
向かいのベッドで口を阿呆みたいに開いて、その上ヨダレまで垂らしてグースカ寝ている駿。
こいつには
馬鹿という二文字以外に当てはまる言葉なんてねぇや…
寝返りをうって駿を背中に
俺は白い壁と向かい合う。
…
桜か…
俺の性格は軽い方で
好きって気持ちになると
一人でずーっとつっぱしってしまう。
だから
今まで付き合ってきたやつらも
俺が一人で恋愛して
一人で覚めて
時には覚められて
別れたやつばかりだった。
でも…
俺は今度は
いや、今度こそ
桜と二人で恋愛をしたいって
思ったんだ。
桜のために
できることを探そう。
俺が胸元で小さく拳をつくると同時に
駿のぐごぉ~
といういびきが部屋中に鳴り響いた。