俺しかいない
「翔、おっきろ~!」
美里たちと海に行ってから一週間が過ぎた。
あれから俺は、桜とは会っていない。
でも、あの真っ白な肌と不思議な微笑みは、俺の脳裏にまだしっかりと刻み込まれていた。
「翔~!!起きろってぇ!!
今日は聖華生と唯一楽しめる聖華主催夏祭りぃ~!
朝からテンションあげとかないでどうすんだぁ~おいっ!」
あ~
うるせぇ奴…
「…まだ時間あるだろが~」
「んなこた関係ねぇって!
今日は美里と堂々とカップルぶりを披露できるじゃ~ん
い~ぇ~!!」
ベッドの上で俺をまたぎながらピースしてくる駿。
正直…
うぜぇ…
俺はまだ半開きの目をこすりながら起き上がった。
駿は俺の足の上に座りこんできやがった。
駿のニヤけた顔が真正面にうつしだされる。
「お前きもちわりぃよっ!!」
どんっと駿を突き飛ばすと、俺はランニングを脱いでせっせと着替えた。
駿は後ろに手をついた格好で、まだニヤニヤしていた。