俺しかいない
「翔~!やったぜ~!

今度美里たちと海行くぞ海!」


まだ微妙に声変わりしきれていない

高めの声で、叫びながら抱きついてきたチビ男。


俺の肩くらいの背丈だ。



コイツは一年の時からの部屋仲間、木下駿(キノシタシュン)。

クラスメートでもある。




俺らの寮は二人一部屋で生活する。





「俺はお前なんかと抱き合いたくなんてねぇんだよ」






とか言いつつもコイツは俺のお気に入りだった。

男のクセになーんか可愛い奴なんだよな~







「へっ、俺だって!

お前なんかより美里とこう…」





と言って空を抱きしめる駿。


「来週の日曜日!

翔も行くだろ~?

拓哉も来るってさ」







小谷拓哉(コタニタクヤ)は隣室のこれまたクラスメート。



コイツは何かと冷静なやつ。


たまにおもれーことする。







「おう、じゃあ、行く。

ってゆーかお前、また女子寮忍び込んだのかよ?

今度見つかったら終わり…」



「まかしとけって!

もうあんなヘマしねぇし!」




俺の言葉が終わるか終わらないかくらいに口をはさみ、ピースする駿。





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