〔BL〕透き通った嘘
シャー…
シャワーの音が、響く。
水は頭を濡らし、床へと落ちていく。
それを俺は、ただ呆然と見つめていた。
(…何やってんだ俺、、、)
昔ちょっと優しくされた男に八つ当たりした挙げ句、その直後にキス、なんて。
「俺は何をしたいんだ。
アイツに縋って、助けてくれと───…」
そう、乞うのか?
あの時でさえ嘘を付いた、この俺が?
優しい芹沢に嘘を付いた癖に。
淡い期待に賭ける勇気がなかった癖に。
こんな時だけ、調子のいいことは言えない。