〔BL〕透き通った嘘


「…それでは、失礼します。」

「また来てくださいね~」

ガララ…

病室を出ると、そこには芹沢がいた。
…最悪だ。

芹沢は俺の顔の傷を見て、みるみる顔色を変えていった。


「なっ…どうしたのその傷!?」

「…階段から落ちただけなのでご心配なく。」

「ええっ!?
それ平気なの…?
オレが看よっか?」

「結構です。
これでも医者のハシクレなので。」

「…本当に大丈夫?」

ドキッ

…ときどき、コイツはすべて分かってるんじゃないかと思う。

「…大丈夫ですので、貴方は職務に戻ってください。」

「痛かったでしょ、よしよし。」

…っ

芹沢は俺の頭を優しく撫でた。

やめてくれ、俺はこの優しさを知りすぎたら…あの痛みに耐えられなくなる。


パシッ

「…それでは。」

俺は芹沢の腕を払ってその場を去った。

< 139 / 159 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop