〔BL〕透き通った嘘
「…それでは、失礼します。」
「また来てくださいね~」
ガララ…
病室を出ると、そこには芹沢がいた。
…最悪だ。
芹沢は俺の顔の傷を見て、みるみる顔色を変えていった。
「なっ…どうしたのその傷!?」
「…階段から落ちただけなのでご心配なく。」
「ええっ!?
それ平気なの…?
オレが看よっか?」
「結構です。
これでも医者のハシクレなので。」
「…本当に大丈夫?」
ドキッ
…ときどき、コイツはすべて分かってるんじゃないかと思う。
「…大丈夫ですので、貴方は職務に戻ってください。」
「痛かったでしょ、よしよし。」
…っ
芹沢は俺の頭を優しく撫でた。
やめてくれ、俺はこの優しさを知りすぎたら…あの痛みに耐えられなくなる。
パシッ
「…それでは。」
俺は芹沢の腕を払ってその場を去った。