〔BL〕透き通った嘘
「おにーちゃん、かわいそう。」
「ははっ…ありがと。」
「誰にやられたの?
僕が倒してあげる!!」
「いや…いいんだ。
俺の弟だから。
…情けないよな、弟のストレス発散に使われるなんて。」
「なさけないってなに?」
「あー…なんでもないよ。」
男の子は、首を傾げた。
「いつもパンチされるの?」
「ああ。
でも最近はなかったけね。」
「やめてって言わないの?」
言っても…
「言っても聞いてくれないしな。」
「でもおにいちゃん…」
どこからか、達樹ー、達樹ー!と呼ぶ声が聞こえる。
どうやらお母さんらしい。
「ママー!」
男の子もそれに答える。
「…達樹君、今の話内緒だからな。」
「わかった!
じゃーね!」
まあ、内緒も何も、子供にとってはどうでもいいはなしか。