〔BL〕透き通った嘘


「おにーちゃん、かわいそう。」

「ははっ…ありがと。」

「誰にやられたの?
僕が倒してあげる!!」

「いや…いいんだ。
俺の弟だから。

…情けないよな、弟のストレス発散に使われるなんて。」

「なさけないってなに?」

「あー…なんでもないよ。」


男の子は、首を傾げた。

「いつもパンチされるの?」

「ああ。
でも最近はなかったけね。」

「やめてって言わないの?」

言っても…

「言っても聞いてくれないしな。」

「でもおにいちゃん…」

どこからか、達樹ー、達樹ー!と呼ぶ声が聞こえる。

どうやらお母さんらしい。

「ママー!」

男の子もそれに答える。

「…達樹君、今の話内緒だからな。」

「わかった!
じゃーね!」

まあ、内緒も何も、子供にとってはどうでもいいはなしか。

< 141 / 159 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop