〔BL〕透き通った嘘

「本当に顔だけなんですか…?
見た通りなんて、曖昧な答え方しないでください!」

「…それは、」

ここで本当のことを言ったら、全てが台無しになる。

芹沢はアイツに潰される。

だったら、言うわけにはいかない。

隠さなければならない。

大丈夫、今までだってそうしてきたじゃないか。
なんの不都合がある?

「…弟に殴られたというのは嘘です。
これは階段から落ちたときにできた傷でして。」

「なら見せてくださいよ。」

「…そこまでする必要性がありません。
芹沢さん、これ以上この部屋にいるなら貴方をクビにします。」

だから、頼むから出てってくれ。

「…わかり、ました。」

ほっ…

バタンッ

扉が閉まると、俺は深く息を付いた。

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