〔BL〕透き通った嘘
「…どうして、いままでだって腐るほど嘘を付いてきたのに…
今更、なんで…!?」
芹沢が来てから、うまく自分を偽れなくなったような気がする。
「俺は…、なぜ…」
なぜ嘘をつけなくなった?
芹沢のせい?
どうして、芹沢が近くにいれば俺に戻るんだ?
もう、疲れた…
「なにも、考えたくないのに…
考えたら駄目なのに…」
考えれば考えるほど、自分が辛くなるだけだ。
騙して、嘘ついて、偽らなければ。
そうすれば俺は…もう、傷付かない。
「そうだ…
人が怖い、なんて…
そんな俺は、誰も望まない…
必要としない…
もっと、もっと隠さないと…!」
俺は、でかいだけの椅子の上で、バカみたいに小さくなってひざを曲げた。
かかえたひざのあいだに、顔を埋める。
そうして、一人静かに溜息をついた。