〔BL〕透き通った嘘


___________

そろそろ回診だな。

ガラッ

俺は院長室のドアを開け、自分の患者を見るために院内を歩いた。

…そろそろ痛み止めが切れる。
戻ったら、痛み止めを飲まなければ。

「…失礼します、笹原さん。
回診のお時間ですよ。」

「おお、もうそんな時間でしたか、院長」

笹原さんは、どこぞの企業の社長らしい。
おおらかなオジサマ系の人間だ。

「失礼しますね…うん、脈も呼吸も安定しているようだ。

この調子で大人しくしていれば、すぐに退院…」

ズキィンッ

「…ッ、」

…っ思ったより、早く痛み止めが切れたな。

まずい、脇腹が痛む。

…立って、られない。

「院長、大丈夫ですか…!?」

俺がたまらずうずくまったのを見て、笹原さんはナースコールを押したようだ。

しばらくして、ナースが来る。
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