〔BL〕透き通った嘘

「どうしました笹原さ…って、院長!?
どうされました!?
どこか傷みますか?!」

「触るな!!」

ビクッ

俺は咄嗟に叫んでしまい、ナースは俺の大声に肩を驚かせた。

「…っ他の先生、呼んできますね!」

そう言って病室を出た後、しばらくしてそのナースは戻ってきた。

頼む、芹沢だけは連れてくるな。

頼む…!

そう願ったときだけ、外れるものだ。

「佐藤…っ、院長…!?」

ハァ…

どうしてこう、運が悪いんだ俺は。

「なんでも…ありませんから。」

ズキンッズキンッ

「そんな訳ないでしょう!?
そんな大量の汗をかいて…!」

ズキンッズキンッ

「触らないでください、私は…大丈夫です。

貴方は仕事に戻りなさい。
…これは、院長命令です。」

ハァ、ハァッ

「嫌だ、佐藤を放ってなんかおけない!」

馬鹿野郎、ここで俺を呼び捨てにすると変に思われるだろうが…。
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