〔BL〕透き通った嘘
「…ごめん、芹沢。
俺は、俺の事ばかり…っ!」
「佐藤?
どうしたの、泣きそうな顔して。」
「ごめん…ごめんっ、芹沢の方がずっと辛かったのに、俺っ…!」
俺は、今までたまってたものを吐き出すかのように、芹沢にすがりながら酷く無様に号泣した。
「…よかった、やっと泣いた。
佐藤の泣いてるとこ、7年ぶりに見たよ。
この間の夜は、感触だけだったから。」
「バカ、そんなこと…!」
「昔の佐藤に戻ってくれたみたいだね。
…本当に、よかった。」
違う、お前は変わってなんかいない。
あの日の、優しいままの芹沢。
「芹沢が…俺を、見つけてくれたから。」
「7年前に言ったでしょ?
オレはいつだって佐藤を見てきたって。
いつも見てたのに、見失うはずないじゃないか。」
芹沢はそう言って優しく笑った。
「…お前は、いつもそうだ。
昔も今も、何も変わらない。
そうやって、優しく笑って俺を受け入れる。
“サボらない?”って言ったときの芹沢のまま、なにも変わってない。」
「…だとしたら、佐藤だって何一つ変わってないはずだよ。
だって、あの時同じように泣いてくれたじゃないか。」