〔BL〕透き通った嘘
「違う…俺は汚い。
でも…芹沢、お前のおかげで思い出せた。」
「なにを?」
どうして俺が、汚れたのか。
何のために、闇に落ちたのか。
「この病院を…患者を、守るためだ。」
父さんの好きにはさせない。
もう言いなりにはならない。
俺は俺の手で、患者を救う。
《お前1人の力で何ができる。
所詮お前は無力なんだよ。
私の力を借りてここまできたというのに、自分の努力でのし上がったような顔をして。
恥ずかしくないのか!》
あ…
そうだ、父さんが裏で手を回したから俺は今の位置にいる。
「芹沢…。」
「なに?」
「…俺の力で、患者を救えるかな。」
「何言ってんの!
佐藤はもう何人も、救ってるじゃん?」
その言葉に、俺は心底救われた。