〔BL〕透き通った嘘


それは、別に。

意識していたわけでは、なくて。

やっぱり自分は1人なのだと、そのまま言っただけで。


「オレは、佐藤の世界にいるつもりだった。

だけど、いなかったんだな。」


芹沢は、ゆっくりと俺の身体を離しながら言った。


「オレの世界には、随分前から佐藤がいたよ。

そんで、いつもオレに"助けて"って言うんだ。

これはオレの妄想にすぎないけど、でも佐藤は実際に、助けを必要としていたんじゃないの?

だから、最初に近付いたのは佐藤、君だよ。

なのにどうして、佐藤から近付いてきたのに、なんで佐藤の世界にオレはいないの?

どうしたらオレは、佐藤の世界で生きることができる?」


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