〔BL〕透き通った嘘
一度吐き出してしまえば、残りはずるずると、引っ張られるようにして出てきた。
「俺は実は頑張っていないんじゃないか?
もっと頑張れるんじゃないか?
だから周囲の人に、『頑張れよ』なんて言われるんじゃないのか?
そして俺は、なにが《頑張っている》のか、分からなくなった。
それからは、ボロボロの毎日だったよ。
誰かの言うとおりにして、馬鹿みたいに勉強した。
寝る間も惜しんで勉強した。
でもそれは、たった一言『頑張れ』を言われたくないがために行った、対策だった。
幼いながらに、必死だったんだ。
そして俺は、過労とストレスでタイジョウホウシンになった。
タイジョウホウシンは、腹一周すれば死ぬと言われている。
そして、よほどのストレスがない限り起きない、と。
だから、主にかかるのは仕事をする四十代~だそうだ。
それを俺は、6歳で体験した。
タイジョウホウシンは、すでに4分の3周はしていた。」
「それって…」
「ギリギリ、死ぬ寸前だったの、俺って。
笑えるだろ?
勉強して、言うとおりにして死ぬって…
親が子供を殺したも同然だよな?
そのことに、親は気付いてない。
ハハ、ケッサクだわ。」
俺が自虐的に笑うと、芹沢は顔をしかめた。
そして────…